アトツギベンチャーをカルチャーとして根付かせたい、そのためのシステムをつくりたい。

一般社団法人ベンチャー型事業承継
コミュニティマネージャー
衛門 宏樹さん

1991年大阪府豊能郡生まれ。実家は米・野菜の兼業農家だが、後継者未定。2015年同志社大学商学部を卒業後、野村證券株式会社に入社。武蔵小杉支店にて4年間新規事業開拓・資産運用コンサルティングに従事する。2019年本社の法人外交・事業承継専門部隊であるソリューション&サポート部にて、2年間事業承継アドバイザーを務める。その後、一般社団法人ベンチャー型事業に出向。コミュニティマネージャーとして、オンラインサロン「アトツギU34」の責任者として、日々業務に奮闘中。また、第2回アトツギ甲子園の運営責任者を務める。

事業承継の意味を肌で感じた

 

ピエール
ピエール
まずは現在の業務について教えてください。
肩書はコミュニティマネージャーです。オンラインサロンであるアトツギU34の責任者として、コミュニティをどのように運営していくかを考えています。昨年度は、第2回アトツギ甲子園責任者も務めました。
トニー
トニー
ピエール
ピエール
こちらに来られるまでは、どちらでどのような業務をされていたんですか。
大手証券会社で勤務をしておりました。2021年4月より出向で一般社団法人ベンチャー型事業承継に来ました。社会人としてスタートしたときは神奈川の支店に配属されて、一日100件の飛び込みや400件の電話をする新規外交をしていました。4年間、証券会社の営業マンとして仕事をして、それから本社のソリューション&サポート部という、事業承継や法人外交の専門部隊に異動しました。非上場株式の税務や相続、事業承継に関係したアドバイザーを2年間務めました。
トニー
トニー

 

ピエール
ピエール
一般社団法人ベンチャー型事業承継に来られてからの1年間について、どのような印象や感想がありますか。
ベンチャー型事業承継に関しては、前任からたまに話を聞いていたのですが、基本的には何の知識もなくここに来ました。事業承継と言うと、どちらかといえば税務のイメージが浮かんでいましたが、こちらに来てから家業の業務や経営者のお考え、カルチャーなどをいかに引き継いでいくのかという部分の重要性を肌で感じています。また、時流の変化が激しい中では常に変化を求められるため、アトツギが10年後のメシの種を巻く必要があるという考え方に非常に共感しています。
トニー
トニー

 

アトツギU34はこちら

 

アトツギ甲子園運営で得た手ごたえ

ピエール
ピエール
トニーと言えば、アトツギ甲子園の運営がメインだったと思うのですが、自分にとって納得がいくイベントにすることはできたと思いますか。
最終ピッチを終えたファイナリストの皆さまの表情を見たときは、「やってよかった」と心底思いました。その一方で、本来ならもっとたくさんの人に参加していただいたり、もっとたくさんの人に見ていただいたりすることで、われわれが目指す「アトツギベンチャーをカルチャーにする」や「エコシステムを作っていく」の部分によりつなげていけたのでは、とも感じています。半分満足で半分納得いかない結果だと思っていますね。
トニー
トニー
ピエール
ピエール
いろいろなメディアに取り上げていただいたりもして、すごくうまくいった大会に見えるのですが、「特にこれは大変だった」というエピソードはありますか。

100名以上が来場されたのですが、それほど大勢が現地に集まるイベントの運営は、個人としては経験がありませんでした。どうしたら皆さまにご満足いただける空間が作れるのか、その部分で非常に苦労したと思います。現地にも何度か足を運び、デザイナーさんと連携して、皆さまのご協力のおかげで何とか形になりました。
トニー
トニー
ピエール
ピエール
僕も事務局として現地にいましたが、本当にアツい大会だと思いました。
アトツギベンチャーのカルチャーが世の中に根付くとか、アトツギ支援のエコシステム構築に寄与できるとか、運営の中でその手ごたえを非常に感じました。メディアや自治体の方々、いろいろな方からお問い合わせをいただいたのですが、これらの方々を満足させることができれば、アトツギの皆さまを支援してくださる方がわれわれ以外にも増えるということになるでしょう。そういう感覚がありますので、今後は、ぜひこのアトツギ甲子園をより大きくしていきたいです。
トニー
トニー
ピエール
ピエール
もう今から、第3回を勝手に楽しみにしてしまいます。

アトツギ仲間でフラットにつながれる場所を広げていきたい

ピエール
ピエール
アトツギU34のほうでは具体的にどのようなことをされていますか。
参加されている方々が、家業でのいろいろなお悩みを仲間に相談できて、忖度なしに意見をもらえるフラットな空間づくりを意識しています。そのためにどのような会が開かれるべきなのか、考えて実施していくことが仕事だと理解しています。
でも、「アトツギベンチャーをカルチャーにするエコシステムの構築」という観点から見ると、われわれが何もかも手出ししては、アトツギの皆さまのためにならないでしょう。できるだけ自分の力で走っていただくためにはどのような企画が必要かを考えながら、業務にあたっています。今、中小事業は”350万事業者”と言われているので、その半分に後継者がいたとして、175万人のアトツギがわれわれの対象になってきます。まだまだかけ離れていますが、その数字により近づいていくことで、描いているミッションやビジョンにも近づいていけるのかな、と考えています。具体的な目標としては、将来的に1万人規模のサロンにできればいいなと思っています。
トニー
トニー

ピエール
ピエール
こんなアトツギにはぜひ参加してほしい、というイメージはありますか。
三つあります。一つは、「現状の家業のままではなく新規事業を立ち上げたい」、「10年後の飯の種をまいておきたい」と考えられているアトツギの皆さまです。家業の中で「新しいことをしよう」と声を上げると反対される可能性もありますが、サロンには相談相手や意見を言い合えるメンバーがたくさんいます。確実に、新規事業のブラッシュアップができる良い場所になるのではないでしょうか。
トニー
トニー
二つめが仲間を作りたい方。それまで外で働いていた方が退職して家業に戻ったとき、もしくは戻る前というのは、意外と仲間がいないケースがあると思います。家業の職場で歓迎されていたとしても、「社長の子どもだから」という目で見られ、同じ立場では話ができないかもしれません。従業員として家業に入る人間と後継者候補として家業に戻る人間では、お互いの目線はまったく変わってくるでしょう。でも、同じ目線で相談ができる、もしくは仲間になれるアトツギが集まっているのがアトツギU34なのです。
トニー
トニー
三つめは、「アトツギベンチャーをカルチャーにする」、「エコシステムを作る」ということに強い興味がある方です。ぜひ入っていただきたいですね。われわれが一般社団法人という形態であるのは、利益を上げる以上に社会に貢献したいという意味があります。われわれの活動を皆さまに還元したいという気持ちはすごく強いです。この目標に向かって同じように考える方にはぜひ入っていただきたいですし、オンラインサロンに参加していただくだけではなく、一緒にエコシステムを作る仕事ができたら、と思っています。
トニー
トニー
ピエール
ピエール
本当に素晴らしいお言葉です。ありがとうございます。最後に、今後取り組んでいきたいことや将来への意気込みなどを教えてください。
ベンチャー型事業承継の一員としては、アトツギが、われわれ以外にもいろいろな方々から支援を受けられるような仕組みを作りたいと思っています。そのために、アトツギではない方々にもベンチャー型事業承継を理解していただける活動にしっかりと力を入れていきたいです。
トニー
トニー

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■取材した人

ピエール

某大手銀行に就職。その経験を活かし、アトツギベンチャーと金融機関の、次世代のあり方を世に問うべく、メディアに取り上げられるような案件をアトツギと実現することが目標。

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