テクノロジー×アナログ商売 日本中にインパクトを与える企業を地方から創る!
三重県
有限会社ゑびや
代表取締役社長 小田島 春樹さん
商売の天才――。そこまでは言い過ぎだろうか。しかし、小田島春樹氏の生い立ち、経歴、ビジョンを聞いていると、自然とそんな言葉が浮かんでしまう。
子どもの頃から商売が大好きで、10代から個人で輸入業を始め、ひたすら自分の“人的資本”だけを使って稼いできた。転機は結婚した妻の実家、伊勢神宮の参道にある食堂「ゑびや」のアトツギとなったこと。最初は店をテナントにして賃料で生活しようと考えていたが、断念。アナログで時代遅れの店を自ら改革していった。
小田島氏を奮い立たせたのは、「地方だからできない」「人がいないからできない」「知らないからできない」という一般論。得意の “逆張り”スタンスで、全部を覆してやろうと飛び込んだ。結果、食堂を改革しただけでなく地産地消の小売業も成功。さらには店舗で使っていた需給予測のシステムを他社にも提供しようと、株式会社エビラボを立ち上げた。すでに賞レースで獲ったトロフィーは棚を埋め尽くしているというが、今も新たなチャレンジを続けている。
「いかに失敗せずに投資するかを考えてきた」という小田島氏だが、「マスオ型アトツギ」としての苦労や失敗はなかったのだろうか。妻・衣里さんにも登場してもらい、“アトツギとしての小田島氏”に迫ってみた。
出典:令和2年度中小企業庁/プッシュ型事業承継支援高度化事業/「ロールモデルのクローズアップ」事業「継ギPedia」(http://tsugipedia.com/)
先代と睨み合いながら、食堂「ゑびや」を改革
社員に名刺を持たせたいって話をした時に、「名刺なんて悪用されるからダメだ」って言われて、何言ってんだろう?って話から始まって(笑)。
先代は、誰も何も指摘をしてくれない、井の中の蛙みたいになってたところに、初めて僕が反逆的になって、もう考え方の違いの溝は、この先当分は埋まらないんだろうなって思いました。
アトツギは円満に事業承継なんかできないですよ。親の理解がものすごく深ければ別だけど、関係性を続けていくのか、関係性を崩壊しながらでも何かを守っていくか、どっちかを選択するしかない。僕は完全に壊しながらやってしまった気がします。。
実は、事業承継って僕の昔からのテーマでもあって、M&Aを専門で研究してたんですけど、「事業承継」「マーケットの大きさ」に加えて、「地方創生」とか、ここにはいろんなテーマが渦巻いてたんですね。僕がこっちに来る2012年の話なんですけど。
この問題を解決して、仮にここから上場企業でもつくれたら、東京で起業するより、よほど日本全体へのインパクトはあるなと思ったんですよ。正直、周りで起業した人はみんな“小粒”で終わってたんで……。あと、自分自身の実績というところでも、挑戦する意味はあるなと思って。
子どもの頃から商売が好き、「変化」が気持ちいい
一般的にはみんな変化って嫌いじゃないですか。特に世代交代のタイミングって、昔からいる社員さんが障壁になるってよく聞きます。「ゑびや」では、どう変化を起こしたんですか?
先代との確執の原因は「男のプライド」?
自分がつくったシステムで、自分の事業を売るという野望
時間、資金調達、組織の3点で、アトツギはラッキーだ
【三重県】
有限会社ゑびや 代表取締役社長
株式会社EBILAB 代表取締役社長
小田島春樹氏、衣里氏
■取材した人
マッキー
1995年生まれ。ベンチャー企業に勤務しながら、アトツギベンチャー取材やイベント運営を担当。