アトツギの主語を取り戻そう

こんにちは、ベンチャー型事業承継のゴードンです。

このコーナーでは、日頃事務局員がアトツギと触れる中で感じたことを書いていきます。

 

今日の話題は、「アトツギの主語」問題。

いろんなアトツギと話すと、非常に使命感が強い人が多いです。

「従業員のために」「地域のために」「会社のために」「日本のために」。

本当に素晴らしいですし、これがアトツギの力の源流なんだと思います。

 

一方で、それが「そうであるべき」というべき論によるものになっていないでしょうか。べき論が、本当の自分の気持ちと乖離した場合、時としてアトツギを苦しめます。

一番大切なのは、自分の心と向き合うことだと思います。

 

自分の心と向き合った時、「地域」という主語だと大きすぎるけれども、「家族」という主語にすることで自然と力が湧いてくるならば、今の自分にとってはそこが良い塩梅なのかもしれません。

 

逆に、「日本」や「世界」、「多くの人」のようなキーワードに、自分の心が踊るなら、ステレオタイプな「地方の家業」という枠を飛び越えるビジネスを思い描いてもいいでしょう。

 

アトツギは、自分が経営者になるということを思い描き続けてきたわけではありません。結果的に、周りの期待や社会の風潮によって、「こうあるべき」という姿を演じて苦しくなることも多い。その点、創業する人は、拡大しないことを前提としたスモールビジネスや、指数関数的成長を志すスタートアップなど、自分の心に応じたビジネスを展開できます。

 

大切なのは、主語を「私」に一度置き換えることです。これは、私利私欲に走って欲しいというわけでは全くなく、どういう時に一番自分の力が発揮できるかということを認識するということです。

 

経営者の器が、会社の器である、というのはよく言われます。ここでは通常、だから経営者の器を大きくすることで、会社も大きくしようという意味で語られます。けれども、器は大きいか小さいかという単純なものではないと考えます。それぞれのアトツギが持つ器の形や大きさがあるはずです。それを、無理矢理大きくするのではなく、育んでいくというのが正しい表現だと思います。それは、人と会うことかもしれないし、学ぶこと、小さなチャレンジかもしれません。その中で、自分だけの理想の形に育んでいけるのが一番です。

 

アトツギベンチャーの定義を、最近事務局でも見直し始めています。IPOを狙うようなスタートアップ型のアトツギがいてもいいし、先代の作った土台をさらに発展的に拡大するアトツギもいい。売り上げとしての拡大はあまりないけど、ニッチや自分の好きなことを磨き上げて利益率の高い骨太な会社にしてもいい。債務超過だし、どうしたって厳しいんだけど、なぜか自分ならこれを救える気がする、というスタートもいい。どうなりたいかは、自分の心、自分の器次第で、どれを選んでも正解なんだと思います。

 

ただ、自分の心や器を自分で知ることは本当に難しいです。もしわからなくなったときは、ぜひ事務局にも相談してみてくださいね!答えをお伝えすることはできませんが、自分と向き合うお手伝いは出来ます!

 

SNSで記事をシェア